中間管理職・上級管理職・執行役員・次の経営者のための基幹人材養成研修・講演・コンサルティングなら、研修ソーシングへ
  1. 人材育成

人材育成のためにリーダとして持つべき仕事の視点と進め方のポイント

人材育成につながるリーダーとしての仕事の視点と進め方の写真イメージです。

リーダーの仕事を通じた人材育成のポイントとは?

「ストレッチ」という言葉があります。
「自分ができると思うより一歩高い目標を設定し、想定した以上の成果につなげること」
目標達成に向けて努力した結果として生まれるのが、想定以上の成果です。

リーダーは、自分の仕事を進めつつ、「人づくり」「組織づくり」も進めなければなりません。
組織の中に有形資産と無形資産をともに積み上げる意識が必要です。
この基盤が次の仕事を大きくサポートし、組織のより高い目標設定と達成を可能にするからです。

部下が持つ無限の可能性を引き出すためにも、「ストレッチ」を活用しましょう。

リーダーとして、より高い目標を設定し、仕事をやり切り、積み上げるためのヒントを紹介します。

<目次>
「結果」を出す人づくり/組織づくり:「原因」をつくる
・注目すべきは「原因」
・良い結果を生む原因とは?
・良い原因づくりに欠かせない要素
人材育成で目指す地点は「課題に対応する力」
・「問題点を改善する」の実践に必要な能力
・「課題に対応する」の実践に必要な能力
・「課題に対応する力」=経営力を鍛え養う
改善力を高める人材育成:「2種類のムダ」を意識する
・ムダの意味を理解する
・ムダには2種類ある
時間優先の緊急対応の時こそ「ストック」を意識すべし
・ストックについての3つの意識
・ピンチをチャンスに変える

「結果」を出す人づくり/組織づくり:「原因」をつくる

懸命に努力しても結果が出ないこともあります。
努力しなくても成功することもあります。
いずれにしても「面白おかしく生きて儲けよう!」にはムリがあるようです。

仏教では「一切は、直接的要因(因)と間接的要因(縁)により生じる」と説かれています。
つまり、「物事には全て原因と結果がある」ということ。
仕事においてもまったく同じで、「結果」は「原因」があって生まれるものなのです。

注目すべきは「原因」

現代の仕事では「結果」「成果」などが注目を集め、重視されがちのようです。
ただ面白おかしく生きるだけで、努力を怠り、お金持ちになりたい、成功したいと願っても叶いません。
なぜなら、「原因」をつくらずに「結果」は得られないからです。

種を蒔いたからといって、きちんと果実を収穫できるかどうかは分かりません。
天災や病気に見舞われて枯れてしまうかもしれません。
動物に食べられてしまうかもしれません。

しかし、失敗を恐れて種を蒔かなければ、果実を収穫できる可能性はゼロ。
成功したいなら、成功に近づくためにできるすべてをやり切って天命を待つしかないのです。

「結果」を出すための「原因」をつくり、望む結果を得るのための努力をする、人事を尽くすことに注力しましょう。「結果」を得たいなら、「原因」に注目すべきということです。

良い結果を生む原因とは?

では、良い結果を生む原因とはどのようなものでしょうか?

経営者の場合の拠り所となるのは、「見えないものを見る力」です。
見えないものを見るためには哲学も必要です。
何があっても変わらない「軸」も必要となります。

そこから未来の「あるべき姿」を導き出して、大きく描くのです。
そうすると、その「あるべき姿」に共感した人たちが集まってきます。
そこから、皆で知恵を出し合い「あるべき姿」に近づくための施策を考えます。

あるべき姿へ近づくための方法はひとつではありません。
「何をすればあるべき姿へ近づけるのか?」
「それ以外の方法はないのか?」
これらを徹底的に考え、「誰が、何を、いつまでにやれば実現できるのか?」を計画します。

これら全てをひっくるめたものが、「原因」なのです。
リーダーは、これら全てをやり切っていくことが重要です。

良い原因づくりに欠かせない要素

「人の役に立つこと」「社会の役に立つこと」という視点を持つことを心がけましょう。
貢献という視点を見失い「自分だけが良ければ良い」という考え方では人の支持を失います。
お客様も離れてしまうでしょう。

企業とは、その事業活動を通して人々の幸福に貢献できなければ存在価値がありません。
だから、自分たちだけが良ければ良いというのでは、存在できなくなってしまうのです。

「因果応報」は「摂理」です。
良いことをすれば良い結果が生まれる一方で、悪いことをすれば悪い結果になります。
これは人間の力でどうにかなるものではありません。
良い結果、良い成果を手に入れたければ、努力して良い原因をつくるようにしましょう。

人材育成で目指す地点は「課題に対応する力」

「問題点」と「課題」は似て非なるものです。
それぞれへの対処の仕方も異なることをきちんと認識し、日々の仕事の中で実践しましょう。

「問題点」とは、現状の姿に着目して「何が問題か?」「改善すべきところはないか?」を考えた結果として出てくるものです。「問題点」は「解決する」ために「改善する」ことです。

「課題」とは、将来のあるべき姿に着目して「あるべき姿と現状の姿にどんなギャップがあるか?」について考えた結果出てくるものです。「課題」は「ギャップを埋める」ために「対応する」ことです。

「問題点への対応」ではありません。
「課題を改善する」ではありません。
そして、表現だけではなく、それぞれを実践するために必要な能力も異なります。

「問題点を改善する」の実践に必要な能力

  1. 何が起こっているのかに気付く力
  2. 現象をデータ化する力
  3. 現象の原因を真因まで追求・分析する力
  4. 数ある改善案の中から最適な改善施策を選び出す力
  5. 改善施策を実施可能な行動計画に展開する力
  6. PDCAを適宜回しながら計画を実践する力
  7. 実践内容を正確に反省(レビュー)し、次の行動に反映する力

「課題に対応する」の実践に必要な能力

  1. あるべき姿を、自らの思いと的確な環境分析から描く力
  2. あるべき姿を定量目標に変換する力
  3. あるべき姿との対比において、現状の姿がどうなっているかを定量的に分析する力
  4. あるべき姿と現状の姿のギャップをどのようにしたら埋めることができるかを考え、数ある対応施策案の中から最適な対応施策を選び出す力
  5. 対応施策を実施可能な行動計画に展開する力
  6. PDCAを適宜回しながら計画を実践する力
  7. 実践内容を正確に反省(レビュー)し、次の行動に反映する力

「課題に対応する力」=経営力を鍛え養う

「問題点を改善する」ために必要なのは、
目の前の問題を改善する「改善提案力」であり、「即時行動力」
です。

「課題に対応する」ために必要なのは、
あるべき姿を描き、その姿と現状との間にあるギャップからの「課題形成力」であり、
ギャップをなくす「施策立案力」「実行力」です。

つまり、「課題に対応する力」は、
組織を使って人を動かし、成果を上げる、いわば経営力とでもいうべき力
なのです。

目の前にある「問題点を改善する」ことから、
いずれは長期的な視野に立って「課題に対応する力」を養うように心がけましょう。

会社が成長していく上で最も大切なのは、
たゆまぬ努力によって「与えられた環境」を「改善の対象」へと変化させていくこと。
一人ひとりが「課題に対応する力」を鍛えることで、その変化を実現するのです。

改善力を高める人材育成:「2種類のムダ」を意識する

仕事において「ムダ」がない方が良いと考えるのは自明の理です。
そのため、組織で仕事をするにあたり「ムダをなくしましょう」という目標を掲げます。

ただ漠然と「ムダをなくす」という目標を掲げるだけでは実現できません。
「ムダ」の意味をきちんと理解し、何を改善すべきかを見極めなければ、「ムダ」はなくならないのです。

ムダの意味を理解する

ムダ取りを目的とした活動を行おうとするとき、
「私たちにはムダはない。だから改善をする必要はない」という声が上がります。
この主張には、
「自分たちは真面目に仕事に取り組んでいるのだからムダがあるはずがない」
という思いが込められています。

理解しておきたいのは「ムダ」とは決して「サボっている」ではないということです。
「改善」とは、サボっているのか、懸命なのかに関わらず、永遠に終わることのない取り組みなのです。

ムダには2種類ある

「ムダ」には2種類あります。
ひとつが「組織のムダ」で、もうひとつが「お客様のムダ」です。

「組織のムダ」とは、組織で取り組む仕事の中に潜んでいるムダを指します。
商品であれサービスであれ、製造プロセスや提供のやり方が良くないために発生するムダのことです。「Pull System」で仕事の流れを組み立てるなど、仕事のやり方を工夫することで改善できます。

「お客様のムダ」とは、お客様が必要としない商品・サービスを製造・提供するムダのことを指します。
これは、仕事のやり方ではなく、もっと根本的な話になります。
自分たちが提供している商品やサービスが本当にお客様の役に立っているのか?をお客様視点で考える必要があります。

「自分たちの仕事にムダはない」という考えには、「自分たちは全員が真面目に仕事をしている」という思いと同時に、「お客様のためになる仕事をしているのだからムダなはずがない」という見解も含まれるでしょう。

しかし、「真面目にお客様のために仕事をする」ことと「ムダがある」は全く別のことです。

たとえば、学校の生徒一人ひとりが必要としている参考書は3冊なのに、良かれと思って5冊を提供しているようなケース。3冊より5冊の方が親切のように思えますが、生徒一人ひとりにとって効率の良い勉強のために必要な参考書は3冊がベストかもしれないのです。

仮に、「組織のムダ」がないほど生産性の高い仕事をやっていても、自分たちが提供している商品やサービスは本当にお客様の役に立っているのかを考えないと、本当の意味での「ムダ」は見えません。

まずは「ムダには2種類ある」ことを意識しましょう。
そして、本当の意味で「ムダ」をなくすための改善を続けることのできる組織へと生まれ変わりましょう。

時間優先の緊急対応の時こそ「ストック」を意識すべし

仕事には日常の業務としての「オペレーション」と「改善」があります。
日々のオペレーションも大切ですが、業務の効率化やコスト削減など改善を重ねることで企業は成長を続けることができます。

そういう意味では、改善こそが本腰を入れて臨むべき仕事といえるでしょう。

とはいえ、実務においてはオペレーションにおける「円滑な流れ」を最優先すべきときもあります。
たとえば、イレギュラーなトラブルが発生したときなど、いわゆる「対応」が必要となる場面です。
発生してからじっくりと改善に取り組むほどの時間的猶予などないケースがほとんどでしょう。

管理者は、スピード重視で手遅れにならないことを最優先に考えなくてはなりません。
納品先のラインを止めることになってはおおごとです。
しかし、ただ「時間優先」で「対応」するだけではなく、そういうときこそ「ストック」を意識しましょう。

ストックについての3つの意識

「ストック」とは一般的には「財産」を指します。
意識していきたいのが次の3つです。

「フロー」の仕事を体系化し、
緊急事態にどのように対応することがベストかを「見える化(マニュアル化)」すること。

そもそも緊急対応をしなくても良い状態をつくっておくために、
日常的に何を整備しておくべきかを考え、業務基盤(業務システム)を強化しておくこと。

その業務のプロとして、業務基盤(業務システム)の強化や
緊急対応に迅速かつ適確に行動できる人材を育成すること。

「時間優先」で「対応」しなければならない時ほど、
その後に「マニュアル」「業務システム」「人材育成」につなげることを意識するということです。

なぜならこの3つが、企業の永続的発展を支える大変重要な「ストック」となるからです。

「企業価値を左右し、企業の強さの源泉となるお金に換算できない資産」を意味する「無形資産」なのです。

お客様からの信頼を得ている会社は、この「無形資産」を蓄積しているのです。
「無形資産」を高める努力を怠らない企業が、
時間と共に自らの基盤をより広く、強く、高くしていけるのです。

企業を支えるこの基盤が大きくなれば、今より上の大きな目標に近づく力を拡大できるのです。

ピンチをチャンスに変える

仕事にトラブルはつきもの。
極言すれば、仕事は次々に発生する異常を正常に戻し続けることです。
トヨタやデンソーでは「困らない状況が非常に困った状況と考える」とされています。
つまり、「ピンチこそがチャンス」というわけです。

「時間優先」で「対応」する仕事のとき、まず、やるべき対応をしっかり行います。
それと同時に「マニュアル」「業務システム」「人材育成」を意識し、即実践することによって、
次の「改善」へとつながる芽をつくっておくのです。

逆説的ではありますが、「とにかく大きなトラブルにならないように緊急で対応する」といった仕事こそ「ストック」を意識するようにしましょう。
それこそが「改善」につながり、一人ひとりの仕事や企業全体のレベルアップにつながるのです。

人材育成の最近記事

  1. “管理職”から“経営者”へと成長するために身に付けるべきこと

  2. 次世代リーダーを育成できるリーダーの心構えとポイント

  3. 「自主研活動」が「考える力」を育て、「考える力」が「自主研活動」を育てる

  4. 自主研とは~人と組織を強くする活動の進め方とポイント

  5. 部下育成・マネジメントを行うリーダーに必要なこだわりと視点

関連記事