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戦略立案の仕方~経営ビジョンを戦略・方針・計画に落とす手順とポイント

経営ビジョンを戦略・方針・計画に反映させる際のポイントのイメージ写真です。

あるべき姿を指針に戦略的思考で計画と行動を選択する

戦略の立案とは、企業と事業があるべき姿に向かうマネジメントの方針と計画を策定することです。立案のポイントは、あるべき姿と整合した経営・事業計画での行動をすること。戦略的思考で現実とあるべき姿のギャップを埋めていくこと。そしてギャップを埋めるための仕事を設計しておくことです。このポイントを押さえつつ経営ビジョンを戦略・方針・計画に落とす手順とポイントを解説します。

<目次>
戦略の立案とは~あるべき姿に向かうマネジメントの方針と計画の策定
・方針と計画
あるべき姿から経営・事業計画としての行動選択
・目的や手段は変化していく
・揺るがない存在意義(使命)
・あるべき姿から行動計画を立てる
「戦略的思考」でギャップを埋めるマネジメント
・経営戦略のための3つの思考ポイント
・戦略的思考で周りを巻き込む
マネジメントも成果の7割は「設計」で決まる
・仕事を設計する
・仕事の設計の優先基準

戦略の立案とは~あるべき姿に向かうマネジメントの方針と計画の策定

経営者は、会社が将来どうあるべきかというビジョンを描きます。
そして、その姿を実現するための具体的な数値目標などを決めて一人ひとりの行動にブレイクダウンしていきます。これによって、会社が一丸となってひとつの方向へ走り出すのです。
この会社の行方を決める要素として、「方針」と「計画」の2種類があることを理解し、それぞれの意味と違いについて確認しておきましょう。

方針と計画

方針とは「あるべき姿」を描いたビジョンに基づいて決定します。
ビジョンに基づいて経営方針を決め、事業運営方針、部方針などを決めていくのです。
これは「目指す方向、ある事柄を行う上での基本とする行い方」ですから言葉で表します。

計画は「あるべき姿や施策を具体的に数値化したもの」です。
たとえば、長期経営計画、中期事業計画、年度計画などを立案します。
こちらは「何らかの目標、目的を達成するために将来どのように行動するのかを決めたもの」で、5W1Hで表現します。したがって、できるだけ「数値、または納期」で表現することが重要です。

「方針」と「計画」は、似ているようですがそれぞれ体系が異なります。
方針は、ビジョンから個人の行動指針まで、「目指す方向」という意味で一気通貫していなくてはなりません。計画は、ビジョンから個人目標まで、数値をベースに切れ目なく展開している必要があります。
この「方針体系」と「計画体系」がそれぞれ整合しつつ車の両輪のように揃っていれば、そのプランニングは正しいと言えるでしょう。

経営者にとって、目に見えない「あるべき姿」を描いてビジョンを策定し、方針を決め、言葉で「こういう会社にしたい」と伝えることはとても大切です。それと同時にその「あるべき姿」を数値化し、具体的な数値目標として一人ひとりの業務にブレイクダウンして、そのビジョンをより具体的にしていく必要があるのです。

それぞれの意味とその役割を認識し、両方をしっかりとつくり上げていきましょう。
成功するか否かの70%はプランニング(設計)の段階で決まります。
この設計とは、この「方針体系」と「計画体系」が整合して策定・立案できているかどうかということです。
これがきちんと策定・立案できていれば、企業は「あるべき姿」へ向かって動き始めるものなのです。

あるべき姿から経営・事業計画としての行動選択

「仕事とは何か?」と尋ねられたら、あなたは何と答えますか?

「『あるべき姿』を実現するために『取るべき行動』を選択して実行すること」というのも一つの答えです。
企業によって「あるべき姿」は異なりますから「取るべき行動」も、自ずと異なります。
社員一人ひとりも異なる「あるべき姿」と「取るべき行動」があるでしょう。
それをきちんと決めて実行することが、ビジネスパーソンにとっての仕事ではないでしょうか。

では、「あるべき姿」と「取るべき行動」のそれぞれをどのように決めればよいのかを考えていきます。

目的や手段は変化していく

「あるべき姿」とは「目的」ではないか
「取るべき行動」とは「手段」ではないか
このように感じられる方もいるかもしれませんが、少しニュアンスが違います。
なぜなら、「目的」と「手段」はその主体の状態や環境に応じて変化するものだからです。

目的は、上位の目的の手段となり連鎖します。
人間が生きる「目的」をマズローの「5段階欲求説」で見ると、最上位に位置するのが「自己実現」。仕事に置き換えれば「あるべき姿」と同じです。これはあくまでも最上位のもので、ここに至るまでに人間にはさまざまな生きる「目的」があります。

最終段階 「自己実現」
4段階 「尊敬、評価の欲求」
3段階 「社会的欲求」
2段階 「安全の欲求」
初段階 「生理的欲求」

一人ひとりの状態に応じて変化していきます。
人間にとって最初の生きる目的は、「生理的欲求を満たすこと」であり、そのための手段を選びます。「生理的欲求」が満たされて初めて、「安全の欲求」を満たすことが目的になるのです。

最上位にあたる「自己実現の欲求」を目的に生きるためには、その下位の欲求である「尊敬、評価の欲求」までのステップが満たされている必要があります。
このように、目的と手段は主体の状態に応じて変化するものなのです。

揺るがない存在意義(使命)

企業が何のために存在するのか、どうあるべきか、というのが「存在意義(使命)」です。
これは、それぞれの企業にとって絶対的なもので変化させるべきものではありません。
その揺るぎない「存在意義(使命)」を明示した上で、5年とか10年など期間を定めて、その存在意義をその時代に投影させたものが「ビジョン」となります。

「ビジョン」を実現するために「取るべき行動」を日々取捨選択していくのです。
すぐに達成できるものではないでしょう。しかし、自分が置かれている環境や会社の状態、あるいは会社を取り巻く環境などに過度に合わせてしまい基軸がブレてはいけません。「取るべき行動」は、あくまでも「存在意義(使命)」に対してどうか、という視点で選ばなければならないのです。

あるべき姿から行動計画を立てる

「あるべき姿」は「~になっている」という意味での「Be」
「取るべき行動」は「~をする」という意味での「Do」

大切なのは、常に「あるべき姿=Be」を意識しながら「取るべき行動=Do」を取捨選択するということです。逆に言えば「あるべき姿=Be」を意識せずに行う施策は、単なる迷走でしかないのかもしれません。

「あるべき姿=Be」は、「何が」「いつまでに」「どうなっている」という形で表現します。
「取るべき行動=Do」は、5W1Hで表現します。

Who(誰が)
What(何を)
When(いつ)
Where(何処で)
Why(何故)
How(どのように)

これは、「中期経営計画」「年度事業計画」等といったものになるでしょう。
「ビジョン」において描かれた「あるべき姿」へと近づくために、具体的な行動計画を立てるのです。

これは、決して経営やマネジメントだけに限ったことではありません。
人生のすべてにおいて、常に「あるべき姿=Be」を意識し、「取るべき行動=Do」を選ぶことが大切です。

「戦略的思考」でギャップを埋めるマネジメント

方針管理に基づき目標を達成するために、「経営戦略」を立てて具体的な行動を起こします。
この「経営戦略」という言葉の定義はさまざまです。
経営者は、まず「経営戦略とは何か」という定義をしっかりと考えることから始めなければなりません。

戦略とは課題形成です。
あるべき姿を描いて現状とのギャップを見つめ、そのギャップを埋めるシナリオをつくるのです。
このシナリオに基づいて、全員で力を合わせて目標達成を目指すことで、現状とあるべき姿のギャップが埋まっていくのです。

経営戦略のための3つの思考ポイント

経営戦略を立てるための「思考」のポイントは3つあります。

まず1つ目は「明確な目標を意識した思考」です。
「経営戦略」を立てて遂行するためには、具体的な「数値目標」を設定し、誰が見ても分かるようなゴールを明確にしておくことが大切です。

2つ目は「シナリオを意識した思考」です。
目標に到達するためのルートはたくさんありますから、その中からひとつを選ばなくてはなりません。
ルートを決めたら、どのルートでゴールを目指すのか、ゴールまでの途中にどのような目印、いわゆるマイルストーンがあるのかといった詳細なシナリオをつくりましょう。

3つ目は「組織や社会全体を巻き込む思考」です。
シナリオを遂行するためには、なるべく多くの人が同じ方向を向いて力を合わせる必要があります。
競合他社の動向を知る必要もあるでしょうし、スピードや生産性なども重要な問題です。
ですから、例えばお互いに足りない技術やノウハウなどを補完し合える企業とアライアンスを組むのも良いでしょう。

戦略的思考で周りを巻き込む

自社の従業員はもちろんですが、社外も含めて世の中全体を巻き込んでいくような思考を持つことが大切なのです。ただし、そのためには理念やビジョンを明確にして、そこに共感してくれる仲間を増やしておくことが大切です。

多くの人と目標を共有し、一つひとつ課題を解決していく企業においては戦略的であることは不可欠です。そうでなければ無責任なのです。

「明確な目標を意識した思考」
「シナリオを意識した思考」
「組織や社会全体を巻き込む思考」

これらを意識して仕事を進めていきましょう。
そうやって戦略的に未来をつくることで、人も企業も成長・発展へと向かうことができるはずです。

マネジメントも成果の7割は「設計」で決まる

仕事をするからには、誰もが「良い結果」を出したいと思います。
では、仕事における「良い結果」とは何でしょうか?

それを判断する上でもっとも分かりやすいのが「目標を達成できたかどうか」という点です。
目標を達成するためには、一緒に働く人たちの間で目標をきちんと共有し、その目標に向かって一致団結して努力することが不可欠です。それによって達成の可能性がぐっと高まるのです。
そして、この「目標に向けて一致団結できるかどうか」のカギを握るのが、「仕事の設計」です。

仕事を設計する

「仕事で良い結果を出すためには設計が大切で、あとはその通りに実行できるかどうか」

製造業では、設計部門が最初につくった図面通りのものをラインで製造することはほとんどありません。
製造部門と何度も打ち合わせ、試作を重ねて問題を解決し、ようやく量産が可能になります。
当然、設計がダメだと何度も試作や設計変更が発生し、手間も時間も余計にかかります。
そのようなムダを減らして「良い結果」を出すために、最初から「良い設計」をすればよいのです。

このことはマネジメントに置き換えられます。
ゴールをきちんと共有して、「良い仕事の進め方」「良いアウトプット内容」などの「良いプランニング」を行っておけば、良い結果へとつながる可能性が高くなるのです。

「仕事の設計」とは、いわゆる「PDCA」の「P=プランニング」を指します。
状況や目的に応じて目標達成までの道筋をつくります。
その設計図を進捗状況や環境の変化などと照らし合わせて見直します。
見直しでの必要性に応じて、適切な修正を行っていきます。

時間や環境の変化により、昨日までは目的に沿っていた仕事が、今日沿わなくなることは日常茶飯事です。従って、常に「仕事の目的と仕事内容の整合性」をチェックする目を持たなければなりません。
この「仕事の設計」次第で、成果は大きく変わります。状況や目標に合わせて、一人ひとり異なる能力を最大限に活かし切る「仕事の設計」が、目標達成への鍵を握っているのです。

仕事の成果の7割は、「仕事の設計」次第なのです。

仕事の設計の優先基準

「仕事の設計」も、時と場合によって大きく変化します。

「仕事の設計」は「精度優先(プランニングを正確に行う場合)」か「納期優先(プランニングを早く行う場合)」かに大別されるからです。

「経営計画の策定」などの仕事は、「精度優先」でしっかりと時間をかけて準備をする必要があります。
「製造ラインで不良品が発生した」などのトラブル対応の場合は「納期優先」で即時に結果を出すことが求められます。それぞれの目標に合わせて、やるべきことを「設計」する必要があるのです。

いずれにしても、誰もが一つひとつの仕事に臨む際に、常に「仕事の設計はできているか」を意識するように心がけることが大切です。それが、自らのレベルアップや部下の能力アップにつながり、最終的な「良い結果」となるのです。

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