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経営管理の原理原則:「Pull System」でマネジメント力を高める

経営管理の原理原則:「Pull System」でマネジメント力を高めるの写真イメージです。

マネジメントの心得:3Mを省く、成果は見せる化、的確な伝達

仕事で成果を出したいと考えるとき、ムラ・ムリ・ムダの存在は軽視できません。
まず、根源となるムラを省くことが先決です。
市場が求めるものに合わせる「Pull System」を用いて、仕事の進め方を設計します。

過剰なアピールをせず、依頼側に価値判断を委ねる成果の「見える化」も重要です。
そのためにも事実を見る風土を築いていく必要があります。
どんなに前のめりのときでも、一歩引き、周囲の有難さを認識して仕事に取り組みましょう。

誰かに何かを伝える際には、伝える側に責任があることを意識してわかりやすい伝達を追求します。
どのような伝え方が適切なのでしょうか。

マネジメント力を高める「Pull System」の考え方と実践について説明します。

<目次>
ムラ・ムリ・ムダを省くマネジメントで成長と発展を促す
・ムラ・ムリ・ムダは同列ではない
・問題の根源である「ムラ」を減らす
「見える化」で示す成果:事実を見る風土をつくる
・受ける側に判断を委ねる成果の「見える化」
・事実を見ようとする風土をつくる
一歩引いた視野を保つ!他力に頼るマネジメントとは
・前のめりのときこそ力を抜く
・他力に頼る視点を持つ
マネジメント力も上げる伝達!結論が先、全体から細部へ
・説明下手の要因とは?

ムラ・ムリ・ムダを省くマネジメントで成長と発展を促す

仕事では、成果が求められます。
成果をより大きくするために大切になるのが「ムラ」「ムリ」「ムダ」をなくすことです。
「ムラ」「ムリ」「ムダ」をなくせばミスを減らし、成果を大きくしていくことができます。
ここから「ムラ」「ムリ」「ムダ」についてと、これらをなくす方法について考えていきましょう。

ムラ・ムリ・ムダは同列ではない

「ムラ」「ムリ」「ムダ」について、まず理解しておきたいのが、この3つは同列のものではないということです。

「ムラ」が「ムリ」を生み、それが「ムダ」につながります。

たとえば、製造現場の仕事に「ムラ」があれば、忙しい時期には「ムリ」をすることになります。

フル稼働のタイミングに合わせて人員を揃えておいたり、材料を用意したりすると、それは暇な時期になったときには過剰人員・材料となるでしょう。
このときの過剰が「ムダ」です。

つまり、問題の根源は「ムラ」なのです。
「ムラ」を減らせば、自然に「ムリ」や「ムダ」も減らすことができるということになります。

問題の根源である「ムラ」を減らす

「ムラ」とは、日々の仕事量が多すぎたり、少なすぎたりすることです。
「仕事が平準化されていない」とも言い換えることができます。
「仕事を平準化」すれば、「ムラ」は抑えることができます。
仕事を平準化するためには、「Pull System」を用いて、きちんと仕事を設計することが必要です。

トヨタやデンソーでは、この「ムラ」をなくすために、市場に合わせて製品をつくるという手法を採っています。市場では、いろいろなユーザーが購入しますし、日にちによって売れるクルマの総台数も異なります。
トヨタでは、市場が求めるものに合わせてラインを組み立てます。
ひとつのラインでいろいろな種類のクルマをつくれるようにしているのです。

一見すると「ムダ」に感じられるかもしれません。
確かに、同じクルマだけを一気につくってしまうほうが一台つくるのにかかる時間は短くなるでしょう。しかし、それが売れなければムダになるのです。
そうならないために、市場という「後工程」に合わせる「Pull System」で、クルマをつくっているのです。

市場が求めるものに合わせる
この「Pull System」をベースとして、仕事の進め方やアウトプット内容などの「設計」を行います。
この設計が、仕事の平準化を可能にするのです。
仕事のムラをなくし、在庫を減らし、不良品や死蔵品の発生を抑えることにつなげることができます。

不良品が減れば、コストが抑えられるだけでなく、お客様からの信頼も高まります。
つまり、企業の発展・成長を実現していけるということです。

「見える化」で示す成果:事実を見る風土をつくる

企業という組織の中にいると、誰もが「上へ行きたい」と願うものです。
上へ行く、すなわち地位を高めることで、より大きな結果を出していけるからです。

ただ、上へ行きたいからといって、自分の能力をアピールすることに汲々としてはいけません。
まして、自分の成果でもないことを自分がやったと嘘を付いたり粉飾したりするのは論外です。

心がけておきたいことは、自分の能力を宣伝する「見せる化」ではなく、事実に基づくありのままの結果を「見える化」することです。この考え方の根底にも、「Pull System」があります。

自分の能力をアピールすることはすなわち「宣伝」です。
テレビから流れてくるコマーシャルなどがわかりやすい例でしょう。
宣伝とは、受け取る側にとって必要がどうかに関わらず「こんな良いところがある」と情報を押し付けることです。すなわち「Push System」に他なりません。

効率やムダのことを考えれば、仕事は「Pull System」であるべきなのです。

受ける側に判断を委ねる成果の「見える化」

「事実をありのままに見える化」するという考え方は、人間関係にも当てはまります。
自分の能力をアピールして認めてもらうという「宣伝」、つまり「Push System」が当たり前だとすると、声の大きいほうが目立ってしまいます。嘘や粉飾の上手い者だけが得をすることにもなりかねません。

自分の能力は「見せる化」していくのではなく、事実をありのままに「見える化」することによって、相手に能力を感じてもらうことが重要です。

過剰なアピールではなく、ありのままの事実を「見える化」するとき、事実を受け取る側がその価値を判断することになります。つまり、情報を受け取る側に判断する権利があるということです。
これが重要なことなのです。

情報を受け取る側がその価値を判断する「Pull System」が基本であれば、嘘や粉飾が入り込む余地もありません。つまり「摂理」に基づいているのです。

事実を見ようとする風土をつくる

「事実の見える化」に基づいた「Pull Systemの人間関係」をきちんと機能させるには、前提として「事実をしっかり見ようとする風土」が必要です。ひとりだけではなく全員が、お互いのありのままをリスペクトし合える風土をつくり出すことが重要になってきます。このような風土をつくり出すことによって、人がタテにもヨコにもつながる強靭な組織を実現していけるのです。

一人ひとりが「Pull System is the best」という考え方のもと、「お互いのありのままをリスペクトし合える」関係性を築いていきましょう。

一歩引いた視野を保つ!他力に頼るマネジメントとは

個人の仕事の成果に関しても「Push System」ではなく「Pull System」であるべきです。
仕事の成果などを声高に宣伝するのではなく、結果として現れた事実をありのままに見える化するべきということをお伝えしました。

では、グループで取り組んだ成果や組織として評価を受ける場合はどうでしょうか。
自分の評価だけでなく仲間たちの評価も関わってきます。
その場合も、事実をありのままの姿を見せるだけで十分といえるのでしょうか。

前のめりのときこそ力を抜く

仲間の評価も左右するのですから、アピールの必要性やプレッシャーを感じることもあるでしょう。
責任感の強い人ほど、そんな気持ちになりやすいものかもしれません。
そんなときにこそ「自分、自分、という我を捨てて、お陰お陰の下で暮らす」という言葉を思い出さなくてはなりません。

人が転ぶのは前のめりになっているときなのです。

まず、肩の力を抜きましょう。
といっても、具体的に何をすればいいのか分からない人も多いでしょう。

肩に力が入っているときというのは、歯を食いしばって、一生懸命になっているものです。
そんなとき、「自分が」という前に出たい気持ちを抑えて、一歩引くスタンスを心がけてみてください。
一歩引いてみると、自分という個人単位だけでなく、自分のチームや部署単位でも、自分たちだけでできることではないということに気付くはずです。

上司や部下、取引先、そして家族、友人など、自分たちを取り巻くさまざまな人たちがいるからこそ、自分たちは仕事ができて成果を出すことができたのです。そう考えると、心の中から自然に「ありがとう」という感謝の気持ちが湧くでしょう。そのようなときは、「肩の力」も抜けているはずです。

このように、我を捨てて、周囲の人々や環境の「お陰お陰」という気持ちにシフトできれば自然と肩の力は抜けていくのです。

他力に頼る視点を持つ

もっと「他力」に頼っても良いのかもしれません。
仏教用語における「他力」とは、決して「他人の力」という意味ではありません。
「自力」が自分に備わっている力であるのに対して、「他力」とは、仏や菩薩などの働きを意味します。

何か大きな責任を感じるときこそ、自分の力を信じ、ベストを尽くしつつ周囲の人々や与えられた環境に感謝して仕事に取り組みましょう。

あなたの求める成果は自然に表出する(Pullされる)ことは多々あることを覚えておきましょう。

マネジメント力も上げる伝達!結論が先、全体から細部へ

「Pull System」では、「誰かに何かを伝えようとした場合、相手に伝わったかどうかは伝える側の責任である」と考えます。ちょうど、プレゼンテーションでも同じことがいえます。
つまり、プレゼンターは、聞く人が理解しやすいように最大限の配慮をして伝えなければならないということです。

まず、説明する相手が誰なのかを明確に認識します。
その上で、何を伝えるべきなのかをきちんと整理します。

細部の話から始められることがよくあります。
事例も含めた詳細な話を延々と行い、それらの話の総和が全体ですと、あたかもまとめることを聞き手に任せるようなプレゼンもあります。これでは、説明を受ける側は、全体像がよくわからず、ポイントの掴めないプレゼンとなってしまうでしょう。

相手が理解しやすい説明をするためには、まず全体像を理解できるように話をした上で、細部の話をするようにしましょう。

これは、プレゼンテーションに限った話ではありません。誰かに何かを伝える際には、伝える側に責任があることを意識して、常日頃からこのような話の仕方を心がけましょう。

説明下手の要因とは?

「初めに全体像や結論を話す」ことのできない説明ベタの人は少なくありません。
その原因のひとつが「レイヤー(layer/階層)構造」の概念がないことです。

ビジネス書などを開くと、「レイヤー構造」になっています。
「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」といったローマ数字の「大項目」
「1・2・3」などのアラビア数字による「中項目」
「(1)(2)(3)」などのカッコ付き数字の「小項目」
この「レイヤー構造」は、読みやすさのための工夫なのです。

この構造があることで、先に「大項目」や「中項目」を確認できます。
必要であれば「小項目」で詳細を確認するという方法を取ることができるのです。
つまり、レイヤー構造になっているおかげで、まず全体像を理解し、必要性に応じて細部の理解を深められるのです。このようにレイヤー構造を意識しながら説明すると、話の内容はより理解しやすくなるのです。

極論を言えば、なるべく結論から話すようにしましょう。
このことは、部下などに指導する際にも、伝えていきたいポイントです。

まずは結論を述べたあと、なぜその結論に至ったかを話すのです。

また「今日の話のポイントは3つあります」とか「今日の説明は30分で終わります」あるいは、書類に1/10などのページ数を記載する、といった配慮も必要です。

社会人相手ですから、相手はそれなりに人生経験を重ねています。
ビジネスで関わるとき、一つ一つの説明にも相手の貴重な時間を使うわけです。
話はできるだけコンパクトに、伝わりやすくする責任を持ちましょう。

TPOをわきまえつつ、全体像から細部へという流れで話しましょう。
聞く人のことを配慮しながら話をすれば、話はすっと聞き手の頭に入っていくはずです。
そのように話を展開できる人の話に、人は興味を持ち、聞きたがるものなのです。

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