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マネジメント力を高める経営管理の原理原則

マネジメント力を高める経営管理の原理原則のイメージ写真です。

経営者としての意思決定と組織・人のマネジメント

会社の意思決定は経営者の仕事です。
結論を出すのは経営者の役割ですが、それでも議論する「場」は必要です。
経営者は、この「場」を経営資源と認識しましょう。

組織の意思決定には、3つの要素が必要です。
経営者は、「正しい結論」を出す責任があります。
最終的に下す結論が「正しい」かどうかの判断基準を確認しましょう。

5Sは、きちんと理解して取り組めば、マネジメントとの密接な関わりを活かせます。
会社を構成する組織や部門は、ゼロベースで考え最適化していくことが大切です。
組織力を上げるための人の動かし方として3つのアプローチ方法があります。

これら経営管理に必要な原理原則を確認していきましょう。

<目次>
経営者が出す正しい結論に必要な3点セット
・「データ」「情報」「場」を駆使する意思決定
・「場」は経営資源と捉える
・正しい結論を出すための最大基準
「5S」の本質を取り入れるマネジメントとは
・5Sの「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」
・5Sの本質は管理
組織構成は全体の役割と機能からゼロベースで見直す
・ムダをなくすゼロベース思考
・会社全体の役割の視点で見直す
・見直しによって発生する抵抗への対処
組織の力を高める3つのアプローチで「人を動かす」
・相手が自分自身で感じるまで待つ
・相手が自分で感じられるようにセットする
・組織の指揮命令系統を使って強制する

経営者が出す正しい結論に必要な3点セット

企業という組織を動かしていくためには、さまざまな情報や意見を集約し、そこからひとつの結論を導き出さなくてはなりません。

企業は、理念やビジョンに基づいて方針を決定します。
その方針から計画を立て、その計画を実行に移さなくてはなりません。
そのための「場」が会議です。

この会議という「場」で出されたさまざまな意見やアイデアを集約して、最終的に結論を出すのが経営者の役割です。

「データ」「情報」「場」を駆使する意思決定

顔を合わせて結論の出ない議論を延々と続けていても意味はありません。
会議とはそもそも、意思決定のために顔を合わせる場なのです。
会議の「場」の意味と重要性を正しく理解しておくことが大切です。

ビジョンに描かれた「あるべき姿(=Be)」を実現するためには、
そのための方策を従業員一人ひとりの行動(Do)にブレイクダウンする必要があります。
この「Be」を実現するために「Do」を決めるのが会議です。
(もちろん「Be」を決めるための会議もあります。)

この「BeをDoに変える」意思決定に必要となるのが、「データ」「データを情報に変換する仕組み」「場」という3点セットです。

「データ」とは、事実や予測を数値化したもの。
過去の実績や未来の市場調査などの数値のことです。
データは数値の羅列でしかなく、そのままでは意味を成しません。

このデータを意味のある情報へと変換するのが「仕組み」です。
変換された情報を基に、関係者が集まって文殊の知恵を出し合うのが「場」です。
この「場」が会議なのです。

「場」は経営資源と捉える

最終的に経営者が結論を出すのに、なぜ、「場」の設定が必要になるのでしょうか。
それは、データから導き出された「情報」以外のもの、すなわち数値化が不可能な情報への目配り、気配りを行うためです。
空気感や雰囲気といった目に見えないもの、数値化できない情報こそが重要なのです。
経営者はその「場」をコントロールする必要があります。
なぜなら、そういった目に見えない情報こそがパラダイム(規範)となるからです。

たとえば、
ドイツは、なぜヒトラーを生み出したのか?
イギリスの国民投票で、なぜイギリスはEU離脱という道を選んだのか?
これらを考えると、場の雰囲気の重要性が理解できるのではないでしょうか。

場の雰囲気をコントロールして意思決定に反映するとき、実際に顔を合わせなければ難しいのです。
ですから、意思決定においては「場」は欠かせない要素のひとつなのです。
「場」は、「人」「もの」「金」「情報」とともに経営資源として捉えていきましょう。

正しい結論を出すための最大基準

経営者にとって大切なことは、「正しい結論」を出すことです。
単なる意思決定ではなく、「正しい」意思決定を行うことを意識しましょう。

その結論が正しいかどうかを判断する最大の基準とすべきものは、
「真のお客様満足を追求しているかどうか」ということです。
これを基準に判断すれば、それほど大きく間違うことはないでしょう。

「データ」「情報」「場」の3点セットを駆使して、「正しい結論は何か?」ということを模索していきましょう。
そのプロセスで、自分の中で譲れないこと、自分なりの「基軸」というものが見えてくると思います。

「5S」の本質を取り入れるマネジメントとは

5Sとは、製造業やサービス業などで職場環境を維持・改善するために徹底されるべき事項を5つにまとめたものです。スローガンとして掲げている職場も多いと思います。
具体的には、以下の5項目となります。

・整理(いらないものを捨てる)
・整頓(決められたものを決められた場所に置き、いつでも取り出せる状態にしておく)
・清掃(常に清掃をして、職場を清潔に保つ)
・清潔(上記3Sを維持する)
・躾(決められたルール・手順を正しく守る習慣を付ける)

5Sを実践する効果として、職場環境の美化、従業員のモラル向上が挙げられます。
しかし、それは5Sの本質ではありません。

5Sの本質を理解するために、5Sの内容について詳しく見ていくことにしましょう。

5Sの「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」

まず、「整理」するためには「何が必要で何が不要か」という基準が必要です。
必要なものを捨ててしまったり、不要なものを残したりしても意味がありません。
きちんとした基準を設けて必要なものだけを残すのが「整理」です。

整理して残された必要なものを決められた場所に置き、いつでも取り出せる状態にすることが「整頓」です。これも、何をどこに置くのかというルールを決めなくては、どこに何が置いてあるのか分からなくなってしまいます。

どのような状態が清潔なのかということを決めて掃除をすることで「清掃」できます。

「清潔」とは、「整理」「整頓」「清掃」が維持されている状態です。
全員が常に気を付けて元の状態に戻すことによって実現します。

そして「躾」は、職場が常に快適な状態であるように「整理」「整頓」「清掃」「清潔」を維持するためのルールや手順を決め、全員がそれを正しく守ることなのです。

5Sの本質は管理

5Sの徹底は単に職場の美化や働きやすさを目的としたものではありません。
5Sとは、職場環境に関する「正常を定義すること」です。
5Sを維持することは「異常を発見して正常に戻すこと」なのです。

これはまさに冒頭で説明した「管理」と同じです。
つまり、5Sの本質は「管理」なのです。

5Sを徹底することによって実現されることはたくさんあります。
たとえば、業務の効率化や不具合流出の未然防止、職場の安全性向上などです。
これらも、「管理」につながるもののはずです。

また、一度決めた「正常」も、絶対のものではありません。
ですから、常にその「正常」について「なぜ?」と問い続けることが必要です。

整理なら「何のために残すのか?」
整頓なら「どうしてここに置くのか?」
清掃なら「本当に清潔なのか?」

これを常に問い続ければ、真の意味での「あるべき姿」が見えてくるはずです。

組織構成は全体の役割と機能からゼロベースで見直す

会社にはさまざまな組織があり、それぞれに他では補えない機能があると考えられています。
その個々が、本当に他では補えない、必要なものなのかと、時には見直すことも大切です。
なぜなら、会社の全ての部門は、過去の必要性によって存在しているものだからです。
今ある組織が現在も、そして将来も引き続き必要であるとは限らないということです。

ムダをなくすゼロベース思考

その顕著な例として挙げられるのが、官公庁の予算に対する考え方です。
官公庁では対前年で予算が決まり、予算を消化しなければ減らされるそうです。
本来、予算というのはゼロベースで考えるべきものです。
今年必要だったからといって、来年も必要になるとは限りません。
予算を減らされないために消化する、ではムダ以外の何ものでもありません。
役割を終えた部門の予算は「0」にするべきなのです。

会社における部門などについても、これと同じことが言えます。

まずは、全ての部門をゼロベースで考えましょう。
注意したいのは、機能に着目しないようにすることです。
機能ベースで考えてしまうと必要か不必要かではなく「人がいる」という理由で付加されることが多いからです。

いわゆる「官公庁の天下り」が分かりやすい例でしょう。
天下る人がいるから天下り先はポストをつくって受け入れる準備をします。
受け入れる側の組織にとって「そのポストが必要かどうか」はまったく関係ありません。
人を受け入れるためにポストと機能を付加するのです。

会社の機能においても、これと同じことが起こる可能性があります。
人がいて、機能があればそれは会社に必要だと感じてしまう可能性が高いのです。

会社全体の役割の視点で見直す

組織にとって必要な機能ではなく、会社全体の中の役割の視点で考えるべきです。
まず、全体の役割とそれに必要な機能があって、その全体の仕事を分担するのが部門ごとの機能です。こう考えると、どの部門や機能が必要で、どれが不必要かを「見える化」できます。

人間の脳は、一部が損傷して失われると他の部分がその機能を補うと言われています。
これは、脳全体において必要な機能を、それぞれの部分が分担することで全体を最適化しているということです。

会社もそうあるべきでしょう。
ただし、実際にそれを行おうとすると、かなりの抵抗が予想されます。
全体の中でどこかの機能が必要ないと判断されてしまうと、その部署で働いている人たちは職を失ってしまう可能性があるからです。

見直しによって発生する抵抗への対処

これを解決するためには、従業員一人ひとりの多能工化しかありません。
そうすれば一人ひとりが多彩なスキルを身に付けることができます。
会社の中で他にもできる仕事があれば、現在のポストにしがみ付く必要はありません。
全体の最適化という視点からも組織の再編がスムーズに進むはずです。
つまり、組織のムダをなくすためには、人材育成から考えなくてはならないのです。

経営者は、まず全体の役割と機能から、各部門の機能が最適化されているかを見る視点を持ちましょう。部門や機能、あるいは人員に本当にムダがないか、「本質」に迫ることができるはずです。

そして、従業員一人ひとりの力を信じてください。
きちんとした教育・場の提供さえすれば、人間はどんどん成長することができます。

会社全体からすべての役割を見直す
人間の能力を信じて教育や場の提供を行う

これら両方があって初めて全体最適化が実現するのです。

組織の力を高める3つのアプローチで「人を動かす」

経営計画に沿う成果を出すために、部下や外注先企業などの周りの人に動いてもらうことは、企業などの組織における管理者の大きな仕事のひとつです。

もっとも重要なのは、運営方針や約束事などを「見える化」し、発信することです。

経営者としてその企業をどうしたいのか(リーダーとしてこの部門をどうしたいか)
そのために何を企画し実行していきたいか
そのためには部下の協力が是非とも必要であること

その上で人に動いてもらうわけです。
人に動いてもらう方法は3つあります。

1. 相手が自分自身で感じるまで待つ
2. 相手が自分で感じられるようにセットする
3. 組織の指揮命令系統を使って強制する

相手が自分自身で感じるまで待つ

最初はやはり、「相手が自分自身で感じるまで待つ」ようにします。
勘の良い人なら部門全体の目的や方向性がきちんと示されていればやるべきことがどんどんできてしまうこともあります。なるべく自主性に任せる方が人は育つものです。

とはいっても、そのようなケースは稀でしょう。
部門全体がそれで大丈夫だとは考えない方が良いでしょう。
リカバリーできる段階で進捗状況などをきちんとチェックしていれば、大きなトラブルになることは防ぐことができます。細かく声をかけ、様子を確認するように心がけましょう。

相手が自分で感じられるようにセットする

チェックして、何か問題があったときに、
2つ目の「相手が自分で感じられるようにセットする」という姿勢で臨みます。
この時、企画書や報告書などの「フォーマット」と、ミーティング、OJTなどの「場」を活用します。

たとえば「このフォーマットを使って企画してみたらどうだろうか?」「私はこうやって上手くいったよ」など、「フォーマット」や「場」を活用すれば、少しずつでも成功体験を積み重ねる後押しができます。

そのようなコミュニケーションによって、考え方や行動が変化していくのです。
1回でできなければ2回、3回と繰り返せば良いのです。
指示やコミュニケーションの要らない人よりも、与えられたヒントを自分なりに応用できる人の方が大きく伸びることもあります。

組織の指揮命令系統を使って強制する

そこまでやっても成果を出せない、考え方や行動を変えられないという人には「組織の指揮命令系統を使って強制する」ことが必要になるかもしれません。
これは「指示」であると同時に「強制」でもあります。

その仕事に向いていないのであればローテーションで環境を変えるというのもひとつの方法でしょう。
ただし、これは止むを得ない、最終手段と考えるべきだと思います。
人にはいろんな能力がありますから、一面的に捉えるのではなく、さまざまな可能性を見てあげることが、部門全体、会社全体の力を高めることにつながります。

管理者はどこまでも諦めることなく、自分が目指す方向性や目標を「見える化」し、「フォーマット」や「場」を活用するなど、あらゆる方法で「人を動かす」ことに取り組んでいただきたいと思います。

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