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経営者の資質とは~強い組織づくりと部下の管理に必要なこと

経営者と管理職が行う組織づくりのための心構えのイメージ写真です。

強い組織づくりと部下の幸せを実現するためのリーダーの在り方>

経営者・管理者にとって重要不可欠な資質とは、人を動かす力です。そのためには、「やるべきこと」をやり切る人づくり・組織づくりできる力をもつこと。積み重ねる知識とそれを活かす実力を高めること。経営者として持つべき仕事に対する3つの心構えを大切にすることです。資質を高める進め方とポイントを解説します。

<目次>
「やるべきこと」をやり切る人づくり・組織づくりできる力をもつ
・すべての経営者がクリアすべきこと
・経営における論理と人間味
積み重ねる知識とそれを活かす実力を高める
・人間のエネルギーの凝縮と発散
・仕事のエネルギーの凝縮と発散
「役に立っているか」を自問自答し原点に立ち返る
・役立つための3つの要素
経営者として持つべき仕事に対する3つの心構え
・仕事に対する心構えとしての「三心」
・仕事の三心=「仕事を楽しむための心構え」

「やるべきこと」をやり切る人づくり・組織づくりできる力をもつ

経営者や管理職など人を率いる立場のリーダーのタイプは千差万別です。

たとえば、経営者ならば、「アウトプット÷インプットを最大化する人」という定義もできます。
しかし、このように単純に言い表せないような人も、また有能な経営者だったりします。
部下に、「この人のために頑張りたい」と感じさせる、「人徳」を持つ人もいます。
明るくて、会ったり話したりすると元気になれて気持ち良い、そのような要素が際立つ経営者もいます。

すべての経営者がクリアすべきこと

さまざまなタイプの経営者がいますが、
そこに正誤や優劣はなく、それぞれの強みによってつくり出す経営スタイルであっていいのです。

ただ、どの経営者も、クリアしておかなければならないことがあります。
「やるべきことをやっている」ということです。
これは、マネジメントの父とも呼ばれるドラッカーの言葉でもあります。

ドラッカーは、著書『経営者の条件』の中で、

「なされるべきこと」とは、「やりたいこと」の対極にあるもの

と記しています。自分のやりたいことではなく、お客様の利益という視点を忘れずに、組織全体として何を実現するべきかを客観的に考えることが大切なのです。

「なされるべきこと」を行うためには、人の能力を見極めた上での「適材適所」の配置も重要です。
経営者が「正しい意思決定」を行うには、「データ」「情報」「場」を駆使しなくてはなりませんが、
これらは、経営者ひとりで準備できるものではないからです。

自分にとって正しい役割を与えられた部下たちが、データを集め、情報としてまとめ、集まってさまざまな意見やアイデアを出し合っていく必要があります。それによって初めて、経営者は「なされるべきこと」として、「正しい意思決定」を行うことができるのです。

経営における論理と人間味

できるだけ論理的に考えて仕組みをつくり上げることが、結果や成果につながります。
ロジカルに考え抜いて作られ、活用された仕組みというのは、時を経ても機能していくものです。
それは、後進のために残せるものにもなります。

ただ、論理を貫くほどに、「情」「人徳」「人間味」といった側面では、弱くなるという懸念が残ります。
最終的に、経営者が「なされるべきこと」をやり切ろうとするとき、ロジカルさとは離れた「情」や「人徳」が必要とされ、それらの要素が大きく影響するようなこともあるでしょう。

こればかりは一朝一夕で身に付くものではありません。
生涯修業で毎日少しずつでも積み上げていく努力が必要となってきます。

人間は、誰でも得意なこともあれば不得意なこともあります。
不得意な部分には、できるだけ注意を払いつつ、日々を精一杯に過ごしていきましょう。
その上で「やりたいことではなく、やるべきこと」について考え抜き、それをやり切っていきましょう。

積み重ねる知識とそれを活かす実力を高める

講演会や討論番組ではさまざまなタイプの人が登場しますが、ときどきハッとさせられる人がいます。
とくに大きな声を出すわけでもなく、ハッキリと喋っているわけでもないのに、
その人が話を始めると、思わず耳を傾けたくなる人というのがいるのです。

そのような人は、身体の中には、エネルギーがたくさん詰まっているように思えます。
そのエネルギーとは、いったいどのようなもので作り出されているのでしょうか。
おそらく、積み重ねた知識や経験であり、それらに基づく深い洞察や考え方なのでしょう。

そのエネルギーが体内に凝縮され、発露を求めているからこそ、自然と耳を傾けたくなるのです。
エネルギーの引き寄せる力とも言えるかもしれません。

人間のエネルギーの凝縮と発散

寺院の山門や仁王門などには、金剛力士像(仁王像)が安置されています。
仏教における守護神です。
口を開いた「阿形像」と口を結んだ「吽形像」の2体が対になっています。
この2つの頭文字「阿吽」とは、「吸う息と吐く息」を意味しています。
これがペアになっていることで寺院を護る力を発揮するとされているのです。

人間が力を発揮するためにも、これと同じことが言えます。
言葉を発するためには、まず息を吸わなければなりません。
息を吸うことでエネルギーを凝縮し、言葉を発するときに発散するのです。
このようなエネルギーの凝縮と発散がペアになって始めて、大きな力が発揮されるのです。

仕事のエネルギーの凝縮と発散

仕事でも、大きな力を発揮して成果につなげるためには、「エネルギーの凝縮と発散」が不可欠です。
とくに、経営者や管理者の立場にいるリーダーは、失敗も含めたエネルギーの蓄積が重要です。

つまり、知識や経験をたくさん蓄え、深く考えることを積み重ねておかなければならないということです。
溜め込んだエネルギーを凝縮させて発散することによって、大きな成果へとつなげることができるのです。

部下に対しても、「自分の知識や実力が十分蓄積されているかを自問しよう。そして発言しよう」と指導していくことをおすすめします。

勉強もせず、真剣に考えもせず、大声で自分の意見を通そうとしても、誰も耳を傾けてくれません。
たとえ小さな声で発言したとしても、その裏側で発露を求めているエネルギーを感じられるような、「耳を傾けたくなるような人」になっていきましょう。

「役に立っているか」を自問自答し原点に立ち返る

仕事をしていく中で自分のありたい姿(=Be)や、やりたい事(=Do)を実現しようとするでしょう。
上司としての自分にも、部下たちにも「大事なことは役に立つこと」という認識が必要です。
どのような仕事においても、何よりも先に大切になるのが「役立つこと」なのです。
役に立つためには、3つの要件があります。

役立つための3つの要素

人の役に立つための一つ目の要件は、「相手が求めていることを正確に知る」ことです。
これなくして始まりません。

二つ目は、「相手が求めていることを提供できる実力がある」ことです。
何をすれば役に立てるかが分かっていても、実力がなければ相手に提供できません。

三つ目は、「喜んでいただけるTPO(Time Place Occasion)をわきまえる」ことです。
何をすれば役に立てるのかを理解して、実力があったとします。
しかし、TPOが的確でなければ受け入れてもらえず、失礼になることさえあります。

上手くいかないときや失敗するときというのは、この3つの要件のどれか、あるいは全てが満たせてないことが多いものです。

この役立つための3つの要素について、異なる見解もあるかもしれません。
しかし、仕事が上手くいかないときは、「人の役に立てていない」という可能性は高いはずです。

どのような仕事でも「人の役に立つことが大切」というのは同じです。
人に役立たなければ仕事にならないのです。
もちろん、「どうすれば役に立つのか」ということについては、それぞれ自分で考えていきます。

「相手が求めていることを正確に理解できているか」
「相手が求めていることを提供できる実力があるか」
「喜んでいただけるTPOをわきまえているか」

うまくいかないときは、これらについて見直してみることが大切です。

経営者として持つべき仕事に対する3つの心構え

曹洞宗の開祖である道元禅師の言葉に「三心」という言葉があります。
禅寺では、坐禅だけではなく、掃除など日常にあるすべてのことが修行だとされています。
食事を用意する修行僧の役職のことを「典座」といいます。
道元禅師はこの典座をとても重要な役割であるとし、その心得を記したのが「典座教訓」です。

「典座教訓」には、

「その務め(食事を作る典座の役職)に当たるときは、
喜心・老心・大心の三心が必要である」

と説かれています。

「喜心」とは「喜びを持ってこの職に当たること」
「老心」とは「父母の子供に対する心を持ってこの職に当たること」
「大心」とは「高きこと山のごとく、広きこと海のごとく、一切偏りのない心を持つ」

典座を務める修行僧の仕事に対する心構えのようなものです。

仕事に対する心構えとしての「三心」

仕事に対する心構えについて、「典座教訓」の「三心」にあてはめて考えてみましょう。

「喜心」=「チャレンジを楽しむ心」
「老心」=「労わりの心」
「大心」=「何とかなると思う大らかな心」

「喜心」とは「チャレンジを楽しむ心」です。
そのような仕事でも、障害が全くないということはありません。
多かれ少なかれ何らかの壁や困難が立ちはだかります。

そこでリーダーがやるべきことは、壁を乗り越えた先にある、自分たちの「あるべき姿」をしっかりと見せて共有することです。そして、そのあるべき姿に向かって皆で力を合わせて進んでいくのです。
メンバーたちにその姿をしっかりとイメージさせることができれば、壁や困難は苦痛ではなく、むしろ楽しみになっていくことでしょう。

「老心」とは、他人を思いやる「労わりの心」です。
誰かが脱落しそうになったら支えてあげる、お互いに声を掛け合ってゴールを目指すというようなことです。細かいところまで気を配り、必要となれば惜しみなく協力します。
我心に囚われているとき、思いやりの実践は難しいものです。さらに周りからの労りにも気付くことができず、感謝の気持ちを感じることを逃すことになるでしょう。

最後の「大心」とは、仮に失敗したとしても、次にまたチャレンジすれば良いという「大らかな心」です。
失敗したところで、命まで取られるわけではないですし、何とかなっていくものなのです。
時には、一つひとつの仕事に対してもう後がないという背水の陣で、歯を食いしばっての努力が必要なこともあるかもしれません。しかし、ずっとそのようなギリギリの精神状態で仕事をすることはできません。
やはり、仕事は楽しいほうが良いのです。

仕事の三心=「仕事を楽しむための心構え」

「チャレンジする心」「労わりの心」「大らかな心」という「三心」とは、
言い換えると、「仕事を楽しむための心構え」であると言うこともできます。

ギリギリまで追い詰めるのではなく、この「三心」で気楽に、楽しみながら仕事に臨みましょう。
その心構えによって、かえって打開策が浮かぶということもあるものです。

明治から大正期に東京実業貯蔵銀行頭取などを歴任した実業家であり、思想家でもある中村天風氏は、

「取り越し苦労は百害あって一利なし」

という言葉を残しています。

これは、ネガティブなイメージからは明るい未来は描けないことを示唆しています。

リーダー自身が明るく楽しい「あるべき姿」を描くことが大切です。
それを「見える化」してメンバー全員で共有し、
そのイメージの実現に向けて一致団結するようにしましょう。

人間とは、現在やっている仕事の延長線上に、明るく楽しい「あるべき姿」がイメージできていれば、
何とかそれを実現しようと努力するものだと思います。
今を生き抜く原動力になるのは、明るい未来を想像することなのではないでしょうか? 
リーダーとして「仕事を楽しむための心構え」=「三心」を持っておきましょう。

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